小倉百人一首 | 定家秀歌撰
第1首目
夕されば門田の稲葉訪れて 蘆のまろ屋に…
夕されば門田の稲葉訪れて 蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く
夕方になると、家の門前の稲の葉に音を立てて、蘆葺きの小屋に秋風が吹いてくることだ。
第2首目
音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖…
音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ
噂に名高い高師の浜のいたずらに立つ波は、かけないように気をつけましょう。袖が濡れると困りますから。 ― 噂に高い浮気者のあなたの言葉なんて信用しませんよ。袖を涙で濡らすことになるのは嫌ですから。
第3首目
高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山のかす…
高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山のかすみ立たずもあらなむ
遠くの山の峰の桜が咲いたことだ。人里近い山の霞よ、立たないでほしい。
第4首目
憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しか…
憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しかれとは祈らぬものを
私の愛に応えてくれず、つらく思ったあの人を振り向かせてくれるように初瀬の観音様に祈りはしたが。初瀬の山おろしよ、ひどくなれとは祈らなかったのに。
第5首目
契りおきしさせもが露を命にて あはれ今…
契りおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり
お約束くださいましたお言葉を、よもぎの葉に浮かんだ恵みの露のように、命と思って期待しておりましたのに、ああ、今年の秋もむなしく過ぎていくようです。
第6首目
わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの 雲…
わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの 雲居にまがふ沖つ白波
大海原に漕ぎ出して見渡すと、雲かと見まがうばかりの沖の白波だ。
第7首目
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても…
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
川瀬の流れが速いので、岩にせき止められる急流が、一度は別れても再び合流するように、愛しいあの人と今は障害があって別れていても、行く末は必ず添い遂げようと思う。
第8首目
淡路島通ふ千鳥の鳴く声に いく夜寝覚め…
淡路島通ふ千鳥の鳴く声に いく夜寝覚めぬ須磨の関守
淡路島との間を飛び交う千鳥の鳴く声のせいで、幾夜目を覚ましたことであろう、須磨の関守は。
第9首目
秋風にたなびく雲のたえ間より 漏れ出づ…
秋風にたなびく雲のたえ間より 漏れ出づる月の影のさやけさ
秋風のためにたなびいている雲の切れ間からこぼれ出る月の光の何と明瞭なことか。
第10首目
ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさ…
ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさはものをこそ思へ
あなたが末長く心変わりしないということは信じがたいのです。お別れした今朝は、黒髪が乱れるように心も乱れて、あれこれともの思いにふけるばかりです。
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